ローバー・ミニのエアコンサーモアンプ修理(というか製作)その1

ACリレーがカチッといわず冷風が出ません。ウッドパネルを外してサーモアンプを取り出して、青黒をアースに落とすとコンプレッサーが動きました。原因はお決まりのサーモアンプ不良のようです。
直結カプラー
とりあえず、画像のカプラーに差し替えてしばらくは完全マニュアルクーラーとしてしのぎます。

また、そのままでウッドパネルを戻すと、エアベンチの穴からカプラーの差し替えが出来なくはないけれど非常に困難なので、10センチほどのエクステンションハーネスを作って、助手席ダッシュ下からアクセスできるようにしておきました。

さて、ミニのサーモアンプ、買うとなると高いのですね。数が出ないからといったらそうなんですが、部品的には数百円ぐらいの気がします。

まずは基板のパターン面にすべて追いハンダしてみます。ルーペで詳細に観察しても怪しいところはなかったのですが、それで直ったという事例もあるようなので。結果は、残念。

次に、市販の汎用サーモスタッドスイッチを使ったらどうか?と考えました。中国製のものなら300円程度から選べます。サーモアンプのようにアナログではなくデジタル制御で、ものによっては作動温度はもちろんオンオフの作動温度差も設定できます。
汎用サーモスイッチ
入手したのはSTC-1000の12V仕様。使用にあたりミニ側の条件を確認してみます。問題となるのはミニのエアコンに装着されているサーミスタの仕様です。

この手の汎用サーモスタッドスイッチは大抵10KΩのサーミスタが付属しているようです。で、ミニは気温25度のとき2.3kΩ。どちらも温度が下がると抵抗値が上昇するNTCタイプですので使えないこともない・・・。もちろん正確な測定温度・実際の測定温度を表示することは出来ません。

STC-1000は付属のサーミスタで測定温度が100度を超えるとエラーが出ます。ミニのサーミスタに直に接続すると、夏場の炎天駐車などで高温になると表示温度は実際よりもかなり高くなるのでエラーになる可能性があります。一度切ればリセットされますが、それではいつまでもエアコンが作動せずに暑いままです。

サーミスタに直列に2kΩの抵抗を接続し、ミニの温度調節ダイヤルの可変抵抗も直列に繋ぎSTC-1000のサーミスタ端子に繋ぎます。

純正ハーネスは、黄黒と黄赤が温度調節ダイヤルの可変抵抗へ、灰赤と灰がサーミスタへ、青黒はACリレーのコイルから、青がサーモアンプの電源に、ギボシ端子の青白がエアコンスイッチを経てアースに繋がっています。

青黒をSTC-1000のリレー出力の一方に、青をSTC-1000の電源+に、青白をSTC-1000の電源-とリレー出力のもう一方に接続します。念の為、青白ラインにヒューズをかましておきました。

温度設定は夜間外気温が約25度で風量最弱・ミニの温度調節ダイヤルMAXで吹出口温度が2~3度に達した時点の表示温度45度に設定。計算上はミニのサーミスタが7kΩ/約2度?でOFFになる設定です。

温度設定の最低限の条件として、外気温が低い状態(ミニのエアコン冷房能力が環境条件を上回る場合)でも室内機が凍らない温度にしたいと考えました。凍ると能力が低下してしまいます。

その温度が吹出口温度で2℃というのは、全く根拠がなく『勘』なのですが。

STC-1000は電動コンプレッサー保護用にディレイ機構がついており、それが0には設定できないことから1分に設定。それも加味して、ヒステリシスは3℃に設定しました。表示温度45℃でコンプレッサークラッチが切れ、そこから+3℃の表示温度48℃でディレイカウントが開始して1分後、表示温度50~51℃で再びACリレーが作動します。

ミニの温度調節ダイヤルを使用すると、感覚的には純正より高温方向に広い範囲の温度調節が出来るようになった気がします。

ちなみに、ミニのサーミスタは2.3kΩ/25℃/B定数4076(文末に修正値あり)、STC-1000のサーミスタは10kΩ/25℃/B定数3273で計算しています。ミニのサーミスタB定数は気温で計測して算出したため、計測温度差が少なく正確性に欠けます。また、ミニの温度調節ダイヤルの可変抵抗は『MIN』(弱)時で約2.7kΩ、『MAX』でほぼ0Ωでした。

しばらく運用したところ、サーモアンプの代替として機能的にはほぼ問題なく動作します。車載後に温度設定に不満が出てもボタン操作で変更するだけですし。

唯一の機能面での不満は、ディレイが0に設定できないために使い始めも1分間冷風を待たなければならないこと。これは実際に使ってみて気が付きました。

こちらのサーモのほうがシンプルで良かったカモ。

機能面以外では、車載を考慮したものではないので耐震などに不安があることでしょうか。それと、STC-1000のリレーはデバイスをそのまま動作できるそれなりの容量のものなので、ミニのACリレーの動作に使った場合は負荷が小さすぎて耐久性的にどうなのかなと。

それと、設定を終えてしまえば意味のないディスプレーが心情的に?設置は見えないところにするわけなんですが、ダッシュボードの中で光っていると思うと・・・。

続く

※本文中『ミニのサーミスタは2.3kΩ/25℃/B定数4076』と記述しましたが、その後もう少し温度差のある抵抗値を計測でき、再計算したところ、B定数4531と出ました。
おおまかな抵抗値です。数値を保証するものではありません。

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