ローバー・ミニのクラッチレリーズシリンダーOH

赤丸内にレリーズシリンダーの一部が見えます
規定量までフルードを注ぎ足しても、2ヶ月程度でクラッチフルードの液面が下がりエア噛みするようになりました。レリーズシリンダーは走行距離20000kmほど前に純正品でASSY交換しているのですが、ハズレの個体だったのか漏っているようです。


【レリーズシリンダーの取外し】

’96年式エアコン付きSPIモデルでは、純正エアクリーナーボックス(付いている場合)、ECU、オイルセパレーター(煙突)は最低外さないとレリーズシリンダーにアクセスできなさそうでした。

バッテリーのマイナス端子を外します。

ECUブラケットを車体に固定している3つのナットを外し、ブラケットごとECUをエアコンホースをかわして引き上げてカブラーと負圧センサーチューブを外します。カプラーはロック爪がかわせるまで手でつかんでぐりぐりし、そのあと外れにくいようなのでマイナスドライバーで周囲を慎重にこじると簡単に外れました。

オイルセパレーター(煙突)を止めている2つのナットをエクステンションとフレキシブルジョイントを連結したソケットレンチで外します。エンジン内部に落とさないよう、煙突本体を外す前にナットの下のスプリングワッシャーをマグネットピックアップで回収してからホースを外し煙突本体を外します。空いた穴をガムテープで塞ぎ、万が一にも異物の落下がないようにします。

これでレリーズシリンダーにアクセス出来るようになりました。といっても、本体を止めているボルトの奥の一本は見えないところにあります。スタンダードサイズのソケットレンチでは長さが足りずエクステンションでは長すぎで、ラチェットヘッドがつかえてしまいます。セミディープあたりなら長さによっては使えそうでしたが手持ちがありません。

ソケットにフレキシブルジョイントと30cm程度継ぎ足したエクステンションをブレーキマスター脇から差し込み、左手を添えて手探りでボルトの頭を捉えます。そのままでは角度がつきずぎて緩めることが出来ないので、ケーブル類を押しのけてエクステンションをマスターバックの脇まで移動させるとギリギリ緩めることができました。

マニュアルにも本体を固定している2本のボルトを外すとあるのでそれに従いましたが、エアコンやマスターバックが付いている’96モデルではかなりタイトな作業です。一見すると3本のボルトでブラケットごと外せば楽なように見えましたがどうなんでしょう?試してみませんでしたがこの方法ではなにか問題があるのでしょうか?

レリーズシリンダーが外れる事が確定したので、油圧ラインをバラします。リレーモジュールをブラケットからずらして外し脇によけておきます。クラッチマスター最上部のフレアーナットを緩め、スティディーロッドのボディー側固定ボルト横のフレアーナットを11㎜のクローフットフレアーナットレンチにエクステンションバーをつけて緩め、ウエスでフルードを受けつつフレアーパイプを外します。

シリンダーからのホースを車体に止めているナットを24㎜のソケットレンチにエクステンションで外します。

レリーズシリンダーをホースごとプッシュロッドから引き抜いて車体から取り出します。この時ダストカップからかなりフルードが漏れました。ダストカップの中が満たされるほど漏っていたようです。


【レリーズシリンダーOH】

ダストカップを外し、エアを使うまでもなく指でピストンは引き抜けました。シリンダー内面を観察すると一箇所ピストンが動く方向のスジが見えます。手持ちのホーニングツールはサイズが合わずつかえません。このまま組むのは気になるので2000番の耐水ペーパーを筒状にして入れ、フルードをつけて指でグリグリ。しばらくすると見えなくなりました。浅い傷だったようです。

シリンダーの内外を清掃してラバーグリスを塗りスプリングをセットしたリペアキットのピストンを入れます。今回は国産の『制研/Seiken リペアキット SK44591』を使用しました。

キットに含まれるダストカップはかなりキツめで嵌めづらく、シリンダー本体をCクランプでテーブルに固定し両手の力技でかぶせます。また、プッシュロッドの刺さる穴もかなり小さく見えますが、こちらはラバーグリスを塗っておけばそのままで簡単に挿入できました。


【レリーズシリンダーの取付けとエア抜き】

概ね取外しと逆の手順で取付けます。件の奥側のシリンダー取付けボルトは取付け時も手探りですから若干難儀します。手前のボルトで仮止めし本体をずらしつつネジ穴を探ります。

ホースをボディーに止めている24㎜のナットを締める時は、供回りしてホースがねじれるので下側からスパナで回り止めする必要がありました。

エア抜きは逆止弁タイプのワンマンブリーダーを使用しました。購入時のままではブリードスクリュー側のホース径が細かったので、逆止弁のニップルにビニールテープを巻いて径を太くして出口側の太いホースと交換して使用しました。
ブリードスクリューを半回転ほど緩めてクラッチペダルを踏みます。ひと踏みでかなり液面が下がるので3~4踏みでフルードを補充したほうがよいようです。4踏み×3セットで気泡がみえなくなり
あっさり終了。スクリューを閉めてペダルを踏み、接続部他からの漏れを目視でチェック。


煙突を外したのでついでにスティディーロッドブッシュを交換し、ECU他の補機類を元に戻して作業を終了しました。


見た目がかなり奥まった場所で、初めての作業だったため丸一日の作業を覚悟していたのですが、正味3時間ほどでした。一番の難関はフレアーナットに11㎜のクローフットレンチがぴったりハマりすぎて抜くのに苦労したこと。クローフットの構造上、引き抜く時にどうしても斜めに力がかかってしまうのですね。ここは同じクローフットでもオープンエンドタイプを外れないように注意して使うほうが楽だったかも。





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